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百年を越える文化財修理の伝統と実績 |
明治30年(1897)、古社寺保存法制定と同時に開始された政府による古美術品保存事業において、美術院(当時は日本美術院)は当初から木造彫刻を主とした文化財修理を依嘱され、その後、現在に至るまで一貫して国宝・重要文化財をはじめとする文化財修理を行なってきました。 代々の技術者によって研究され、継承されてきた伝統的修理技術のうち、とくに「木造彫刻修理」の技術は、文化財保護法が定める「選定保存技術」に第1号として選定され、美術院はその保存団体に認定されています。 明治30年代から今日まで美術院 国宝修理所が修理した文化財は約一万点にのぼります。 |
修理の対象 |
古文化財である彫刻・工芸品の全般を修理対象とします。 【彫刻】 仏像・神像・肖像・狛犬、舞楽面・伎楽面・能面など (木造・乾漆・塑造・石造・銅造・鉄造など) 【大型工芸品】 天蓋・神輿・唐櫃・扁額・絵馬、石燈籠・石塔など |
美術院の修理 〜文化財修理の基本は現状維持修理 |
美術院 国宝修理所の修理は「現状維持修理」が基本です。 現状維持修理とは、たとえば仏像が手足を欠失している場合でも、現状のままで保存に耐えうる程度の修理しか行なわないというものです。欠失部については損傷移行の恐れがある場合や、構造上不安があると認めらる場合以外は、補作を行なわないことが原則となっています。 この「現状維持修理」という概念は彫刻の修理に限らず、すべての文化財修理の基本となっています。 ただし、文化財の欠損・亡失部分について、損傷の拡大が予想されたり、保安上構造的に不安がある場合、あるいは信仰上の理由よる場合に限り、補作修理を行なうことがあります。 |
美術院 国宝修理所の修理理念 |
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